大福茶というお茶をご存じでしょうか。
関西でお正月によく飲まれる縁起物のお茶です。
梅干しや昆布を中に入れて飲む場合もあります。
このお茶の起源は古く、平安時代にさかのぼります。
951年に、京都で下痢を伴う疫病が発生、蔓延しました。
時の天皇、村上天皇はこれを憂慮して、六波羅蜜寺の空也上人に悪疫退散の祈祷を命じました。
しかし祈祷はなかなか通じませんでした。
そこで、十一面観音像を安置した台車に茶を積んで
京の町を引き回し、街頭で祈祷するとともに、茶に梅干しを入れて人々にふるまったといいます。
するとさしもの悪疫も次第におさまった、という伝承によります。
この功徳にあやかり、村上天皇が毎年お正月にお茶を服するようになったと言います。
天皇が服するから皇(おお)福茶。
それから転じて大福茶(おおぶくちゃ)と呼ばれるようになったそうです。
大福茶(おおぶくちゃ又はおおふくちゃ)が正しい読み方です。
平素あまりお茶を飲まない人も正月だけはとっておきのお茶ですがすがしい新年を迎え、古い年の邪気を払いましょう、ということなのです。